鈴木亜美
AROUND THE WORLD

亜美のニューアルバムをきいています。うん、結構いい。そんなに期待はしていなかったのですが(買ったのも発売して一週間以上経ってからでしたし)、意外にも(失礼!)、収録曲のレベルが高い。特にダンス系の曲は、B級アイドルポップながらなかなかの粒ぞろいで、さすがavexの本領発揮といったところでしょうか。

AROUND THE WOLRD・・・「あなたと From the started day, breaking the wall」というゆっくりしたメロディがサビだと思うとつまんないんですが、その後の、「自分に負けないくらい限界を超えたい♪立ちはだかる壁も壊してゆきたい♪」という早口のパートがサビだと思えば、うん、わりとキャッチーでいいかなぁ。ここの早口パートは、強気でけな気な歌詞も好きです。
PVもなかなか面白いですね。ドラァグクイーンみたいになった真っ白な亜美も、大きな瞳を冷たく光らせる黒フードの亜美も、すごくキレイ。でも、ドームの中に描かれている壁画の女性の顔が、亜美の顔になっているのは・・・あれは、あそこは、笑うところ、ですよね・・・?違うの?

Hopeful・・・overhead champion mix(略して「オバちゃんミックス」)だから、Delightfulのc/wで既にきいていたけれど、やはり明るくて音がきらびやかで、きいていて気持ちがいいですね。メロディや歌詞はほんっとうに辺り差しさわりのない、つまんないアイドルポップなんだけど、凝ったトラックで十分に誤魔化せちゃっている。
PVは初めて見ましたが・・・う〜ん、いろんな映像が混ざり合っていて、コンセプトが今ひとつ分かりません。宙にふんわり浮いている亜美を見ると、多分これもエセSF路線を狙いたかったのかな?途中に挿入される男装の亜美は、宝塚ばりの目バリが怖い上に、ダンスがすごく初歩的すぎて、苦笑してしまいます(ほんとに、踊らない方がマシなような、簡単な振り付けなんですよ・・)。
Beautiful・・・サビのスピード感が爽快!ただ、この歌をきくたびに思ってしまうのは、「あぁ、これ、2、3年前ならあゆが歌ってたんだろうなぁ」ということ。この歌のAメロの早口っぷりとか、サビの分厚いコーラスとか、もろにEvolutionとかUNITE!とか歌ってたころのあゆだなぁ、と。要は、トランス路線から一抜けしたあゆの代わりに、avexのイチオシ路線であるトランスダンスポップを引き続き歌わせる存在として、亜美が選ばれたんだろうなぁ、と(あゆとは違って亜美は多少なりともダンスができるから、その点でも都合がいいのだろうしね)。

Sweet Voice・・・書き下ろしのバラード。「あなたを知って、変わる景色があるの」というサビの歌詞がいいですね。メロディもしっとりとしていて、日本人の涙腺のツボを付く節回しだと思います。「ねがいごと」よりも大人のバラードという感じかな。亜美の歌い方も大人っぽいです。

Delightful・・・相変わらず大好き。何度きいても飽きません。「Crazy your LOVE♪ Crazy my LOVE♪」に合わせて、無意識のうちに、右・左・右・右、左・右・左・左と前進したくなります。でも、これもPVのダンスエディット(挿入映像を省き、ひたすら亜美のダンスシーンだけを見せてくれるディレクターズカット版PV)を見ると、意外にダンスが簡単そうに見えてきました(笑)。
For yourself・・・すごく初期の「鈴木あみ」っぽいです。SAの書き下ろしに入っていそうな、一人称「僕」(ていうか、イメージ的には「ボク」、だな)の、ボーイッシュでかわいらしいミディアムソング。毒にも薬にもならないようなアイドルポップだけど、一曲くらいこういうノリの曲があると、小室時代のあみを思い出して懐かしい感じがします。
しかし、なぜこんなボーイッシュでポップな曲に、あんなにレトロでシックなPVがついているんだろう・・・。初めてあのPVを見たときは、「これ、他の曲に合わせて撮ったPVちゃうのん?」と本気で思ってしまいましたよ(笑)。セピアっぽいヨーロッパの町並みも、ワンピースにティアラ姿の亜美もすごく美しいんだけど、それゆえに「自信なくした僕を許して♪」なんていう歌詞とは、激しくミスマッチ感を覚えます(笑)。不思議なPVだなぁ。

「ねがいごと」・・・地味目に見えて、実は名バラードなんじゃないかと思います。サビのね、「どこに行けば美しくなれるのだろう」というフレーズがね、もう、すごい好きなの。この「美しくなれる」っていう、ある意味ひねりのない表現、ストレートすぎる表現に、すごいグッと来た。朋ちゃんのLove againの「あなたの言葉、どんな偉い人よりも信じられる」くらいグッときた。この、あまりにシンプルな、単純な、ひねりも工夫もなさそうな「普通」すぎる言葉は、それ故に、真っ直ぐに、胸に響きました。この「美しく」っていうのは、姿かたちが美しくなりたいとか、心が美しくなりたいとか、生き方が美しくなりたいとか、そういうものをぜーんぶひっくるめての、存在として美しくなりたいという意味なんじゃないかなー、と。(かなり拡大解釈しているかもしれませんが、私はこのワンフレーズに、思春期の少女が持つ「とにかく何かすごくトクベツなものになりたいという無心の憧れ」を見ました)
PVの方も、これまた、なかなか意味深なんですよね・・・。ショーウィンドーに飾られている、亜美の顔をしたマネキンが、最初はお客さんの目を集めているんだけれども、いつの間にかみんな他の新しいマネキンの方へ行ってしまって、亜美のマネキンには見向きもしなくなる・・・この辺りでサビのフレーズがきこえてきたときには、もうボロボロ泣いてしまいました。・・・その後の、使われなくなって捨てられた亜美マネキンが若いデザイナーに拾い上げられて、また新しい服を着せられて、再び人々の注目を浴びる・・・という展開には、最初ちょっと「???」と思いましたが(笑)、あれは亜美なりの皮肉というか開き直りというか諦観というか・・・なのかしらん。だったら凄いな、アムが腕にバーコードのタトゥ入れてるのに匹敵する開き直り方だわ。

Risk・・サビがキャッチーでいいですね。コーラスと亜美の声とが追いかけっこをするのが好きです。
これは私の勝手な直感的感想なのですが・・・Beautifulがあゆっぽい曲なら、こちらのRiskは今井絵理子っぽい曲(笑)。絵理子のファーストアルバム(というかファーストアルバムとベストアルバムしか出ていないのですが・・)My Placeというのがあって、これもダンスアイドルポップとしてなかなかの佳作だと思うのですが、Riskをききながらずっとこのアルバムを思い出していました(笑)。

Eventful・・・シングル発売時にはDelightfulほどハマらなかったので買わなかったのですが、いやぁ、しっかりきいてみたら、ほんっとにカッコいいです!今更ながらにハマりまくり。
「追いかけるほど可愛くはないの、期待しないでそんなに甘くはないの♪」という歌詞がいいですね(亜美もどこかのインタビューで、ここの歌詞は自分でもお気に入りなのだと語っていました)。こんな言葉を歌いながら、絡んでくる男性ダンサーの顔を張り飛ばすんですよ(笑)。
そう、このEventfulのダンスエディット版PVが、またカッコよくてねぇ!全身の動きがきちんと映っているので、これなら一生懸命頑張れば私もダンスの型くらいは覚えられるかもしれない・・・と一念発起してしまい、さっそくテレビ画面を大きな鏡に映して、左右逆になったPVを見ながら、要所要所でDVDを一時停止したりスロー再生したり何度も巻き戻したりしながらドタバタと頑張った結果、一応一時間半ほどかけて、Bメロからサビまでの動きはなんとか覚えました(ただし型を覚えることと美しく踊れることとは別です。頭では動き方が分かっていても、身体が付いていきません・笑)。引き続き、イントロ、間奏、アウトロ部分を頑張りたいです。ただし頑張って覚えても、披露するあてはありません・・・。

with you・・・このアルバムの中では、いちばんスキップ頻度(きかずに飛ばす頻度)が高い曲です。う〜ん、他の曲に比べて特別にメロディのレベルが低いわけでもないとは思うのですが、なんとなく飛ばしてしまいがちです・・・まぁ、他の曲に比べるとサビが弱いかな?でも音は悪くないです、特にAメロで低いベース音(?)がボィ〜ンボョ〜ンと鳴っているのが、亜美の低い囁きによく似合っています。
イントロの「Don't feel lonely, I need you」というリフレインは、どこかで・・・どこかできいたことがあるような気が・・・します・・・何だろうか、ものすごいデジャヴを感じます。

Times・・・こちらはキャッチーでよくきくのですが、その代わり、with youなんて比べ物にならないくらいにデジャヴ感が強いです。デジャヴ感というか・・・リスペクト感というか(笑)。イントロやサビ前にはHOT LIMITのイントロにソックリ(というか、カモレツのイントロにソックリ)なフレーズが入るし、間奏はこれまたHOT LIMITのサビ(「大介的にもオールオッケー!」の部分)みたいだし、極め付けには、サビに合わせてそのまま<A href="http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/ES/TMRevolution/ARCJ-148/index.html">「魔弾」</A>を歌えるし(あと、なんとなくキックの打ち方が大ちゃんっぽいなぁ・・という印象を受けたんだけれど、これは私のうがち過ぎかもしれない)。う〜ん、渡辺徹は、小室だけじゃなくて浅倉大介からも多大な影響を受けているみたいですね。
でも、そういうツギハギ感はあるものの、上手にうまーくツギハギして、うまくキャッチーなナンバーに仕立て上げたなぁ、と感心してしまいました(笑)。夏の恋の歌に相応しく、明るくて開放的で、そしてエネルギッシュなナンバーです。
1コーラス目の「どこから来たマドンナかな?誰よりも先に声かけて」という歌詞にはものすごいオッサンくささを感じてしまったのですが(笑)、2コーラス目の「どこから来た貝殻かな?」というフレーズは、魅力的な女の子を貝殻に例えるという発想が面白いです。きらきら光る玉虫色の貝殻かな?それとも、真っ白で清楚な貝殻なのかな?
亜美のボーカルも勢いがあってよいのですが、サビの「サマータイム!」というシャウトが、ちょっと雑かなぁ。この歌も男の子視点の歌詞なので、ボーイッシュさ、ラフさを出そうとしたのかもしれないけど、少々やりすぎてる感じがします。声の響きが、上品さに欠けるというか・・・しかもその「サマータイム!」をサンプリングで何度もきかされるので、ちょっとイラっとします(苦笑)。

I'm alone・・・「自由なんて奪われてはまた、奪い返す」という、この「奪い返す」という醒めた物言いに、ハッとしました。ここまで明るいラブソングや元気なダンスナンバーもたくさん歌ってきたのに、アルバムのラストになって「I'm alone」と呟くように歌う、そのギャップ(特に、前曲Timesとのギャップ)がいいですね。
「My loneliness killing me〜♪↑....My loneliness killing me♪↓」と、最後だけ音程を下げて歌う、この終わり方が好きです。ため息を付くようなか細いボーカルが、静かな余韻を残していきますね。ブックレットに載っている、階段を上がっていく亜美の後ろ姿と、この切なげな「My loneliness killing me↓」の囁きが相まって、こっちまで切なくなってきます・・・。
菊池一仁の曲調と歌詞のテーマのせいか、これもまたどことなく、初期あゆを髣髴とさせる曲かな。そういえば、今回のブックレットのような無表情お人形フェイスも、初期あゆっぽい雰囲気ですしね。